2.放射線のリスク評価に関する調査            本文へジャンプ


 原子力エネルギーの利用や医学・工業などにおける放射線利用はいまや、深く国民の日常生活に係っており、また、地球温暖化の諸課題解決にも原子力エネルギーの利用はますます増大するものと予測される。
 このような中、2007 年 7 月に新潟県中越沖地震が、また、2008 年 6 月には岩手・宮城内陸地震などが発生し、災害あるいは事故時の原子力施設・放射線施設の安全性に対する説明の重要性が増してきている。すなわち、国は国民を放射線の影響から守るため、放射線の人体影響を確認するとともに、放射線防護について有効な施策を講じる必要があり、また、原子力、放射性物質を扱う企業は、国の防護政策を遵守し、国民の安全を守るとともに、自らの活動が社会に対してもたらす影響を十分に認識し、そのうえで放射線のリスクと便益について国民の理解を得ることが必要である。
 一方、2007 年 3 月に ICRP 新勧告が承認、Publication 103 として公表され、国内法への取り入れなどの課題が注目されている。しかし、この ICRP 新勧告を含め、国際的な放射線防護の体系は、LNT 仮説に基づき、より大きなリスクを含む体系で構築されるなど、従来の枠組み・考え方と基本的に変わらない姿勢をとっている。最近の低線量放射線の健康影響については LNT 仮設での予測より低いことを示唆する多くの科学データが蓄積されていることを考えると、ICRP の新勧告には、科学的な研究成果が正しく認識されることなく動いているように感じられる。 
 そこで放射線のリスク評価に関する国内外における最近の情報を収集・分析し、LNT 仮説と放射線防護体系における問題点を明らかにするとともに、放射線の影響に関する正しい認識を社会に広めることが重要である。

I. 放射線生物学の成果にもとづく放射線発がんのリスク評価
1. LNT仮説への挑戦
II. 放射線(原子力)リスクの正しい認識のために
2. 毎日新聞記事「被爆と被曝」に対するコメント−2006 年 12 月 3 日毎日新聞
III. 放射線利用の新展開−これからの課題と対応、社会への働きかけ−
3. 原子力・放射線分野の専門知識を持った人材を作ろう
4. 「リスク評価のための指標」を再評価する必要性に関する調査研究−過去の事例についての調査−
 
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