2008.4.1
 
八十路のつぶやき
 
菅 原  努
  59. 老人に変化は突然起こる
 

 

 3 月 10 日(月)の朝でした、何時ものようにトイレに入って、最後にお尻洗浄をしようと左手前にあるボタンを押そうと首を左にひねった途端に、首筋に痛みが走りました。首を左右に動かそうとすると、その筋肉が痛みます。しばらく前から家内が頚椎変形症で、首がかしいでいるのを見ていましたので、「あれ、私もとうとう同じ病気になったか」と一瞬思いました。しかし、それからしばらく身体を動かしていると次第に痛みも去り、普通の動きができるようになったのです。

 次の朝にも同じようなことがあったので、水曜日の夜、寝る前に背中に家内が使っている痛み止めのシップを張ってみました。それで随分楽になりました。そうして昼間は忘れてしまう位ですが、朝になるとまた痛みが治りません。そこで主治医の診察を 2 週間早くしてもらいました。それでも昼間は何もなく、もう治ったかと思うくらいですが、朝になるとまた痛み出すのです。

 19 日(水)にCT で血管系を詳しく調べてもらいましたが、特別の異状は見出せず、消炎鎮痛剤を処方してもらいました。でも矢張り念のために整形外科の診察をうけるように指示され、22 日(土)のX 線写真で頚椎の変形が原因だと指摘されたのです。この変形は大分進んでいて家内のより悪いとのことでした。

 今もこの病気による朝の痛みに悩まされていますが、私がここで皆さんに言いたいのは、このような変形は可なり前から起こっていたのでしょうが、その症状がある日突然あらわれるということです。私の今までの病気は狭心症も大動脈乖離も病気そのものが突然起こっても不思議ではありません。私も自分でもそう思っていました。でも今度のことは、身体はじわじわと蝕まれているが本人は一向に気づかない。ところが、ある日突然急に症状が現れ、重い病気が始まる。これは見かけのことで、実は身体は既に大きく蝕まれている、というのが高齢者の真実ではないかということです。そのことを、自分の経験を通じて痛感しました。

 一月ほど前に、老人ホームの食堂で向かい同志で、夕食をともにしていた方が、お休みと手を振って車椅子で部屋へ帰って行かれるのを見送った、その晩に、急に状態が変化して亡くなるという経験をしたばかりですので、そのことを一層痛感します。私も来客があって話し出すと、つい熱弁をふるってしまうので、「お元気ですね」と言われるのですが、用心が必要です。老人の見かけを誤解しないで、そっとしておいてください。何分にももろい身体ですから。

 

 

 
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