2004.9.1
 
八十路のつぶやき
 
菅 原  努
  16. 真夏の夜の夢
 


 ここ数回老いの悩みのようなことばかりが続きました。夏休みをぼんやりとしながら、年をとっても何か楽しみ、それも年寄りにしか味わえない楽しみのようなものがないだろうかと、考えてみました。身体は余り使えない、耳はよく聞こえない、お酒も飲めない、では若い人の考える楽しみは何もありません。しいて言うならば出来るのは読書で、ときどきこんな面白い考え方があるのかとか、こんな新発見があった、とかを見つけるのは確かに楽しみです。その代わり題に惹かれて読んでみてがっかりすることもないわけではありませんが。しかし、これは年寄りの楽しみというよりは、年寄りに残された僅かな楽しみかもしれません。

 では、私にとって本当の楽しみは何でしょうか。実は年甲斐もなくと言いますか、依然として若い時と同じように、いやむしろ若いときよりより自由に夢を追うことです。今まで色んなことを計画し、実行してきました。それはそれなりに私の夢であったので、それが曲がりなりにも実現できたことで、そろそろこの辺でこの世からもおさらばかな、と思っていたのです。ところが最近私が関係しているベンチャー企業の仕事が面白く発展してきました。だからその仕事を私が乗り出してやろうとというのではないのです。それがうまく行けば、それを元手に新しい夢の組織を作ろうというものです。一体どんな組織だ?と聞かれると困るのは、それをどんなものにしたら良いか、いろいろと考え楽しんでいる最中だからです。

 この新しい技術もそうですが、この6月に国際フォーラムを開いたがん温熱療法も、ここまで日本で普及してきたのは日本発の医療技術です。それを我が国では、欧米で広く行なわれていないからと言って、権威者が認めようとしないのです。食品の第三の機能という考えも日本から発足しながら、規制がそれにうまく適合しないばかりに欧米に先を越されています。今度の技術も下手をすると同じ轍をふまないとも言えません。そこでこれを契機に、この悪弊を何とか突破するような活動のための組織を作りたい、というのが基本的な狙いです。皆さんの支援が得られ、私自身も自信を持って薦めることが出来、またそれなりの成果をあげるには、どのような分野に絞ればよいか、それをうまく包含する名前はどんなものが良いか、など楽しみながら考えています。

 でも、お前の年を考えればそんなことは生きている間には、間に合わないのではないか、という疑問を持たれるでしょう。それはこう考えています。仕事そのものは、何も自分で全部をやる必要はありません。基盤さえ出来れば、それを実現してくれる現役の人達が何人かいると思います。でも、考え計画するだけでも、楽しく生きがいになるではありませんか。私が誰にも遠慮する必要のない自分の立場を活用して、夢のプランを作り実行に向かって働きかけよう、というのです。

 この真夏の夜の夢がどのように発展するか、また何ヶ月か後にご報告したいものです。 

 

 
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