2000.12.10
 

2000年12月のトピックス
20世紀最後の月

菅 原 努

 いよいよ21世紀も目前になりました。みなさんはどんな感慨をお持ちでしょうか。私はこの世紀の比較的はじめの方即ち1921年2月の生まれですから、2001年に満80歳の誕生日を迎えることになり、それを元気に迎えることがひとつの目標でした。ひとびとは21世紀への夢と希望を語られるのでしょうが、私にとっては21世紀をわが目で見られることが何よりの喜びなのです。そうして今ここに来てようやく、さていよいよ21世紀だ、新しいプランを立てようと考え出したという始末です。

 今この原稿を長崎のホテルで書いていますが、それは昨日今年長崎大学を定年退官された友人の退官・出版祝賀会に出席したからです。そこで私も短い講演をしましたが、自分では皆さんと同じくらいのつもりでいたのですが、他の演者の紹介を聞いていると私が教授になったころに大学を卒業した方々が今次々と定年退官されているというのに、つくづく我が年を感じさされた次第です。 

 こんなことを書いたのは、来年からは自分の年と経験を明確にして、“八十路 (やそじ)から”みなさんに話かけてみたいと思っているからです。ホームページには若い人がその日々の思いを綴ったものが人気を集めていると言うよう新聞記事などをみますが、一つ八十路からの話も聞いて見てください。健康、老化とがん、環境などいろんなことを自分の経験と知識に基づいて書いてみる心算です。

 最近このホームページも皆さんによく見て頂いているようでアクセス数(Page View)も、月1.5万から時には3.8万近くになっています。この内容を分析し更に皆さんに興味があり、役立つようなものに仕上げていきたいと思っています。それが人生80年を生きてきた人間が中心になって作っているところに注目してください。

 私たちイメリタスクラブ(名誉教授の会)ではこのホームページにも示していますように、開かれたいろんな活動をしています。先ず公開しているものとしては、医療倫理については「星野ゼミ」、健康・医学・生物学の最近の知見については「健康指標プロジェクト講演会」、太陽紫外線と付き合う方法については太陽紫外線防護研究委員会公開セミナー」、また新しい誰でもできるスポーツ「スカイクロス」などがあります。最近では健康指標プロジェクトの延長として「食品の機能性について考える京都健康フォーラム」という討論を中心とした会も開催しました。詳しいことはそれぞれのページをご覧ください。

 研究成果については、上の講演会の内容なども含めて「環境と健康」という雑誌を会員制で隔月に発行しています。そのうち健康指標に関したものを単行本にして1月から順次発行する予定です。また会員の山岸秀夫名誉教授が11月に共立出版から「免疫系の遺伝子戦略:免疫防御システムの分子遺伝学」を出版しました。より専門的なものですが、同じく11月に菅原が編集の一人として次のような2冊の英文の本を出版しました。

  • Thermotherapy for Neoplasia, Inflammation and Pain
    Springer出版
    (悪性腫瘍、炎症ならびに痛みに対する温熱療法)
    編集:M.Kosaka、T.Sugahara、K.L.Schmit、E.Simon
  • High Background Radiation Area in China 
    日本放射線影響学会雑誌特集号 (中国における高自然放射線地域)

 このうち、山岸名誉教授の本については新年から新しくもうける会員の活動紹介の中で解説していただく予定です。英文の二つ目の本については,その内容の解説を「環境と健康」12月号に掲載の予定ですので、それを新年1月にはホームページでも読めるようにしたいと思います。ご期待下さい。