2001.4.2
 
Vol.14 No.1 Editorial

21世紀の幕開け
菅原 努
 

 

  この「環境と健康」もいよいよ14巻で21世紀を迎えることになりました。お陰様で読者も徐々に増え、またその掲載の内容の一部を単行本にする計画も実り此の号と共にシリーズ「21世紀の健康と医生物学」の第一、第二巻が発行されます。その詳細は本誌のお知らせの欄を見て下さい。

 さてこの「環境と健康」にはこの号からもう一つ新しい発展があります。それはこの雑誌の支持母体に従来の(財)体質研究会に加えて新しく(財)慢性疾患・リハビリテイション研究振興財団が加わったことです。この二つの財団は共に研究公益法人として協力して“健康と医生物学に関する研究”を大学その他の研究機関と協力して進めていきます。前者は主に外部からの委託研究を、後者は寄付による自前の研究プロジェクトを、行いますが、それらの成果でこの雑誌を、より内容豊でしかも親しみ易いものししていきたいと考えています。従ってそのカバーする範囲も一段と広げ特に健康に直接関係のある内容を充実させることを目指します。

 ご承知のように21世紀は生命科学の世紀であると共に、IT革命の世紀になることが期待されています。われわれの二つの財団は名誉教授の知恵のリサイクルの場であるイメリタスクラブの協力を得てホームページ「百万遍ネット」http://www.taishitsu.or.jp/ を開設していますが、本誌とこのホームページとの連携をつよめ、その記事を出来るだけホームページでも読めるようにその枠を拡げていきます。インターネットが発達すれば、もはや本という形は不要になるかという疑問もありましたが、どうやら現実にはそれぞれに特有の役割があるようで、やはり当分は本という形もなくならないと考えてよさそうです。しかしインターネットにほそれなりの利点もありますので、そのような特徴を生かした形をねらって共存を図りたいと思います。

 例えば、私達が開発した癌治療法ハイパーサーミアについてホームページに解説記事を載せるとともに、問いあわせがあれば相談にも応じております。今まではそれを私が独りでささやかにやってきましたが、そこに松田忠義博士という臨床の専門家に加わって頂き、さらに関連の病院ともネットを作っていく計画が進行しています。これ以上治療の方法がないと言われた患者さんがこのインターネットを通じての情報によって新しい治療を受け、良くなって退院しましたという報告がメイルで返ってくることもあります。インターネットで人助けが出来る、これこそIT革命だと力んでいます。また同じ記事でもインターネットで読むときには、クリックで関連の記事が直ぐに読めるなど、また違った読み方が出来ると思います。私のパソコンは73歳から始めました。それでももう7年経って少しはその特徴も分かってきました。これからも手探りながらその特徴を生かした使い方を志したいと思っています。

 読者のみなさま、ホームページへの来訪者(本当はなんとお呼びすれば良いのでしょうか)の皆様からのご叱正、ご指導と共に本誌のご愛読を心からお願いして新世紀開幕のご挨拶にさせて頂きます。


(財)体質研究会(財)慢性疾患・リハビリテイション研究振興財団の二つの財団が共同して行う活動する場合にいつも二つの財団名を併記するのはわずらわしいので、このグループをTwin Health Group(THG)〈健康財団グループ〉と名付け、必要に応じてこのグループ名を用いることにします。