2001.6.1

 

 

6. 八十路からの健康談議(6)

 


 
 有名な作曲家のD氏が中国旅行中に蘇州で急逝されました。新聞記事に驚いていたらその週の日曜日のテレビでD氏をしのぶ特集があって、昔の思い出とともに亡くなった時の様子が話されました。D氏は私と同じくらいのお年だったようなので、この話を糸口にして高齢者の日常の健康管理について提言したいと思います。

 同氏は何人かの音楽仲間と使節団のような形で中国を訪問しておられたようです。前日はかなり疲れておられたようで顔色もさえなかったということです。でも当日はすっかり元気を取り戻し、朝から精力的に予定をこなされたようです。午前中は何か会議のようなものがあり、午後は何処かの施設見学が行われました。夕方には招宴があり、それは8時すぎには終了しました。そのあと日本からのグループでお茶でもということになり、10時頃まで談笑しておられたよしです。そのあと部屋に戻られたが、何人かがお部屋についていってそこでまた11時過ぎまで話し込んでおられました。そこでようやくみなは分かれて各自部屋に戻りましたが、1時頃に「気分が悪い」と電話があり、飛んで行ってすぐに救急車で病院に運んだがそのときには既に亡くなっておられたということです。

 以上はテレビでの話を私が思い出すままに書いたもので、細部には誤りがあるかも知れません。でもテレビを聞きながら同じ高齢者(年寄り)の身として、「あ、これはいかん」と感じました。何がいけないかがこれからの話です。D氏は1、2ケ月前のある会合で、「皆さん、身体には十分気を付けて下さい。ただ私はそんなことを偉そうには言えませんがね」と言われたそうで、ご本人は案外気がついてなかったかも知れませんが。

 さて、何がいかんかをこれから説明しましょう。私なども毎週のように東京出張を日帰りでしているので、よく「先生は元気ですね」と言われます。しかし、実情は出張の時には朝も遅めの列車に乗るようし、疲れをためないように新幹線の中では出来るだけ寝るようにするなどしているのですが、この間のようにへたばりこむこともあります。海外旅行では夜パーティーなどがあるときは、早めにホテルに帰って1時間ほど休憩するようにしています。パーティーのあと何処かへ誘われても出来るだけ断って早く休むようにしています。端的言えば老人の元気は若い人のそれと違って細心の注意の基にようやく保っているものなのです。それを忘れて若い人(と言っても50、60位の人も含むと思いますが)と調子を合わせているととんだことになりかねません。これらは自分で気をつけますが、若い方にお願いしたいのは、決して部屋にいり込んで話し込まないことです。疲れていても帰ってくれとはなかなか言えず、つい無理をすることになります。老人のマイペースを崩さないように周りの人も気をつけて頂きたい というのが今日のお願いです。