2000.8.1
 

2000年8月のトピックス
夏休み読書のすすめ

菅 原 努

 私が最近乱読した本の中から、皆さんに興味がありそうで手頃なものを選んでお勧めします。ご自分の興味と関心にあったものを選んで読んでみて下さい。きっと良い夏休みだったと満足していただけるでしょう。

 

*家にいながら世界中を旅行して、しかも健康の為になる食べ物を見つけたい方に。よくまこれだけ世界中を飛び回ったものだと感心します。

家森幸男著 「長寿食」世界探検記
講談社 2000年6月20日発行
¥1,700+税 ISBN4-06-210271-4 C0095

 

*65才を越して老いが気になる人、家族に老人の居る人に。精神は未だしっかりしているのに、見かけの老化で老人あつかいしまいように。(初めは一寸読みにくいですが、少し読み進めると成る程と合点がいってきます)

正高信男著 老いはこうしてつくられる:こころとからだの加齢変化
中公新書 1518  2000年2月25日発行
¥660+税  ISBN4-12-191518-5 C1245

 

*音を聞いたり話をしたりするときに、一体われわれの脳はどのように働いているのだろうか。そんなことが何処まで分かっているのか。耳の聞こえない人に話が出来るようにする医学はあるのか。永年その研究をしてきた大学の先生の話を聞いてみようという人に(一寸値段が高いが、腰を落ち着けて読むとわれわれの脳のすばらしさがよく分かります。老人の恋のことまで想像したのは私だけでしょうか。脳には若いときに出来た回路が残っているのです。)

本庄 巌著 言葉をきく脳しゃべる脳
中山書店 2000年5月22日発行
¥2,400+税 ISBN4-521-01361-9 C3047

 

* 最近はあてにしていた科学技術の最先端の場でつまらぬ事故や問題になる開発が行われていますが、一体科学技術といっているものはどうなっているのでしょうか。そんな疑問をお持ちの方に、また若い科学技術の第一線にある人に、是非読んで考えて頂きたい本です。科学も今や社会と無縁ではありません。それがどう発展してきて、段々と社会と密に係わるようになってきた経緯を説く第1章は特に印象的です。また私達が最近問題にしている科学者、技術者の倫理についても論じています。

村上陽一郎著 科学の現在を問う
講談社現代新書 2000年5月20日発行
¥660+税  ISBN4-149500-3 C0240

 

*ここからは私のやってきた医学を離れます。それでも最近の我が国の経済はおかしいと思いませんか。対米黒字はやたらに大きく、しかし国にはお金がなく、銀行までつぶれる不景気だというのは、一体何がどうなっているのでしょうか。素朴な質問をつぎつぎぶつけ、それに専門家が的確な回答をしてくので、私も成る程と納得しました。何より良いのは経済学はもともと共同体のあり方の学問なのですという出だしです。そして我が国の景気を立て直すにはお金だけでなく、国民の気力がいるということです。

佐藤雅彦・竹中平蔵著 経済ってそうゆうことだったのか会議
日本経済新聞社 2000年4月3日発行
¥1,500+税 ISBN4-532-14824-3 C3033

 

*最後に20世紀もいよいよ最後です。ここで戦後の55年を振り返って見ましょう。今までそれぞれの国で見てきたものを、改めて相互関係、相互比較したのがこの本です。ベトナム戦争と文化大革命との密接な関係には驚き、納得しました。最近まで日本が成功し、中国が失敗してきた技術革新の本体は何か。しかし、最近はその日本が米国、中国においていかれそうになっているのではないか。前の経済の話をもう少し科学技術の面から見直してみる必要があるでしょう。

星野芳郎著 日米中三国志:技術と政治経済の55年史
文春新書  2000年5月20日発行
¥690+税  ISBN4-16-660104-0 C0250

 

では楽しい夏休みをお過ごし下さい。