2007.1.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(22)
各暦年における年齢層別人口10万あたりの自転車による負傷者数の推移

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  交通事故統計年報(総務省警察庁、(財)交通事故統計センター)に収載されている1966年から2000年のあいだのデータについて各暦年ごとの年齢層別負傷者数を選抜しました。対象となったデータと各暦年負傷者数は、前回もちいたつぎのデータの中から求めました。

  1. 自転車事故死傷者の年別推移(人数)  (複数暦年を記載)
    1-1.年齢区分(歳);5未満、5-19、20-24、〜 65-69、70以上
    1-2.年齢区分(歳);6以下、7-12、13-15,16-19、20-24, 
      25-29 〜 70-74は5歳間隔.75以上.
  2. 年齢層別・状態別・死者数(男女計)
    2-1.状態別(運転中および同乗中);自動車、自動二輪車、原動機付自転車、自転車、その他の車両、歩行者、(合計)
    2-2年齢区分(歳) つぎの2種類がある
      2-2-1.5未満、5-19、20-24、〜 65-69、70以上
      2-2-2.6以下、7-12 13-15、16-19、20-29 〜 70-79,80以上
  3. 状態別・年齢別・性別・死者数
    3-1.年齢区分(歳)
      3-1-1 5未満、5-19,20-24、〜 65-69、70以上
      3-1-2. 5未満、5-9、10-14、15-19、20-24 〜 65-69,70(75)以上

前回説明しましたように、これまで使用してきたデータの収集にあたって、1990年台以前の資料については、国立国会図書館でコピーを入手し、1990年ころ以降については京都府立資料館の蔵書を対象に検討し、コピーを収受をしています。

2. データの検討

 そのようなことで、今回も使用のデータには若年層に欠落部分が多いのですが、1966年以降2000年について14年齢層における人口10万あたりの負傷者数を、同一の9暦年について選抜し、0-4、5-9、10-14、15-19の年齢層には欠落部分が多いのですが、あえて表1に示しました。

 前回の死者についての検討の場合と同様に、暦年の経過に伴なう負傷者数の推移(図1)について、1966年を1としたときの各年齢層の比率を求めて、表示しました(表1)。図1でみられる経年変化の傾向は、この表に鮮明に反映しています。

 図1は、暦年の推移に伴なう人口10万あたりの負傷者数を示していますが、全体の傾向は、死亡者についての検討の場合(前回)と類似しています。すなわち、人口10万あたりの負傷者数はこの期間の初期ほど大きく、ついで1977年までは急減したのち、漸減しています。前回の死者数と今回の負傷者数の暦年推移を年齢層で比較すると、いずれもよく類似していることがわかります。それらは、(20-24)歳、(25-29)歳の低値、高齢の(60-64)歳と、30歳から50歳の中間値につづく(65-69)歳の高値にみられます。なお、(0-4)歳、(5-9)歳の数値の乱高下の意味は不明です。

 いずれにしても、自転車による死傷者が1/10になるのに40年を要していて、最近はこの減少傾向に低迷がみられるという状況です。

 つぎに、各暦年の(20-24)歳の比率を1としたときの各暦年について、その年齢層の比を示したのが表2です。各年齢層の数値を暦年を通して検討すると、(45-49)歳までは2〜3倍ですが、(50-54)歳より高年齢では4〜5倍に増加し、(60-64)歳以上では5倍を超え10倍、あるいはそれ以上に達しています。これは同一の暦年においても年齢の増加に伴なって負傷者を生じる割合が増大すること、また、暦年の推移とともに高齢者における負傷者発生の可能性が大きくなることを鮮明に示しています。

表1 1966年の人口10万あたり負傷率を1.00としたときの各暦年の比率

暦年

年齢層(歳)

0-4

5-9

10-14

15-19

20-24

25-29

30-34

35-39

40-44

45-49

50-54

55-59

60-64

65-69

1966

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1.000

1971

0.615

2.077

1.482

1.261

0.785

0.949

1.262

1.587

1.093

1.059

1.070

1.031

1.104

1.243

1977

   

1.409

1.441

0.735

0.766

0.949

1.133

1.090

0.861

0.771

0.688

0.628

0.688

1981

   

1.440

1.921

0.718

0.748

0.813

1.065

1.087

0.986

0.779

0.675

0.643

0.667

1987

       

1.056

0.816

0.833

1.057

1.144

1.142

1.101

0.815

0.705

0.773

1990

       

1.231

0.966

0.824

0.976

1.024

1.066

1.081

0.881

0.731

0.789

1993

       

1.685

1.280

1.021

1.051

1.110

1.074

1.118

1.039

0.869

0.845

2000

       

3.195

2.483

1.870

1.642

1.357

1.237

1.193

1.167

1.122

1.112

2003

       

3.578

2.649

2.090

1.885

1.601

1.261

1.226

1.089

1.091

1.164

 

表2 各暦年の年齢(20〜24歳)における比率
(人口10万あたりの死者数にたいする人口10万あたりの負傷者数)を
1としたときの各年齢層の比率

暦年

年齢層(歳)

20-24

25-29

30-34

35-39

40-44

45-49

50-54

55-59

60-64

65-69

1966

1.00

1.29

1.85

2.40

2.61

3.48

3.31

3.86

5.86

5.42

1971

1.00

1.56

1.40

1.55

2.92

3.18

4.38

4.53

5.95

6.21

1977

1.00

1.71

1.61

1.65

2.89

3.65

4.52

5.32

8.09

8.23

1981

1.00

0.63

1.06

1.04

1.28

1.90

2.17

2.76

4.48

5.62

1987

1.00

0.97

0.88

0.63

1.31

2.03

2.07

3.02

4.47

5.39

1990

1.00

1.00

2.55

2.92

3.68

3.80

5.84

8.96

9.79

16.15

1993

1.00

1.19

1.56

2.24

1.58

2.68

4.28

5.24

6.11

8.13

2000

1.00

0.63

1.40

2.31

3.04

3.49

4.09

5.39

7.60

8.88

2003

1.00

1.51

1.88

2.29

2.36

4.56

4.66

8.10

10.86

16.36

 

図2 年齢別人口10万あたり自転車事故負傷者数