2006.10.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(19)
各暦年における年齢層別人口10万あたりの死者数の推移の比較

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  交通事故統計年報(総務省警察庁、(財)交通事故統計センター、1962年〜2004年、人口10万人当たりの年齢層別死傷者数の推移 = 年齢、死者数、負傷者数、(掲載は不定期))

2. データの検討

 1966年〜2004年の各暦年における全自動車事故の年齢層別死者数の実数について検討しました。

図は、表1に示した1966年〜2004年の人口10万あたりの死亡率の経年推移のうち、10層の年齢層について1966年を1としたときの比率で示したものです。この推移には、ほぼ3個のピーク((1)、(2)、(3))が認められます。

 少し強引ですが、このピークと年齢層の関係を表2のように検討してみました。ピーク(1)は、1970年代の事故多発、ピーク(3)はその後に台頭してきた第2の多発時代を反映しているとみられます。

 これらを少しくわしく点検すると、幼児、幼年と成年の各グループは幸いなことに暦年推移のなかで漸減傾向を保持していますが、高齢になると漸増しつづけていることが注目されます。交通事故の分類は、大きく自動車、二輪車、自転車の乗車中と、歩行中とに区分され、後の2者は被害者の立場になることが多いのです。

 16歳から19歳のピーク(1)が高値を示すのは、この年齢層にみられる運転免許取得資格の発効と、それにかかわる二輪車の事故多発とみられますが、15〜16歳にみられるピーク(2)とともに、次回以降に考察します。


図 いろいろな年齢の人口10万あたり死者数の比の暦年推移

 

表1  5暦年で区分したいくつかの年齢層についての
人口 10万あたり平均死亡率の経年推移の平均と比率

暦年 年 齢 層 (歳)
1 7 15 16 17
1966-1970 0.88 1.00 0.99 1.00 1.07 1.00 1.27 1.00 1.27 1.00
1971-1975 0.62 0.70 0.96 0.97 0.94 0.88 2.19 1.73 1.80 1.42
1976-1980 0.34 0.39 0.59 0.60 0.65 0.61 1.45 1.14 1.18 0.93
1981-1986 0.24 0.27 0.41 0.41 0.72 0.68 1.59 1.25 1.39 1.09
1986-1990 0.19 0.21 0.39 0.40 0.61 0.58 1.24 0.98 1.32 1.04
1991-2000 0.14 0.16 0.39 0.39 0.54 0.51 0.95 0.75 1.00 0.79
1996-2000 0.11 0.13 0.27 0.27 0.44 0.41 0.77 0.61 0.70 0.55
2001-2004 0.12 0.14 0.23 0.23 0.38 0.36 0.56 0.44 0.55 0.44
                     
暦年 年 齢 層 (歳)
18 19 2024 3539 70
1966-1970 1.17 1.00 1.24 1.00 1.03 1.00 1.02 1.00 1.17 1.00
1971-1975 1.37 1.17 1.35 1.09 0.88 0.85 0.75 0.74 1.10 0.94
1976-1980 1.20 1.02 1.19 0.96 0.64 0.62 0.40 0.40 0.64 0.55
1981-1986 1.45 1.24 1.42 1.15 0.75 0.72 0.37 0.36 0.62 0.53
1986-1990 1.47 1.25 1.63 1.31 0.91 0.89 0.37 0.36 0.69 0.59
1991-2000 1.28 1.09 1.51 1.22 0.86 0.84 0.38 0.37 0.75 0.64
1996-2000 0.93 0.79 1.07 0.86 0.66 0.64 0.31 0.31 0.68 0.58
2001-2004 0.65 0.55 0.76 0.62 0.48 0.47 0.30 0.29 0.56 0.48

  (  )は1966年の人口10万あたりの死亡を1としたときの比率

 

表2 図から観察される年齢とピークの関係

年齢

 

ピーク

 

 

(歳)

 

1

2

3

グループ

1

 

×

×

×

幼児

 

7

 

×

×

×

幼児

 

15

 

幼年

 

16

 

少年

 

17

 

少年

 

18

 

少年

 

19

 

青年

 

2024

 

青年

 

3539

 

×

×

×

成年

(=幼児)

70

 

×

×

高齢

(=幼児)

 

 

 

 

 

 

 

ピークについて:○;認められるもの、 ×;認められないもの △;不鮮明なもの