2006.7.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(16)
《 年間12ヶ月の死傷数と事故件数の推移(4) 》

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  交通事故統計年報(総務省警察庁、(財)交通事故統計センター、1965年〜2004年、月別交通事故発生状況の推移=事故発生件数、死者数、負傷者数(掲載は不定期)) 人口統計(総務省統計局、2006年)

2. データの検討

 今回も前回と同様に、基礎データに示された45年(1960年〜2004年)の各暦年における各月の事故発生件数、死者数、負傷者数について、各月の実数を5暦年ごとに分割して9グループ((1)〜(9))を編成しました。また、この各グループの年間(12ヶ月)平均値を計算し、(死者数/事故発生件数)と(負傷者数/事故発生件数)を求めて、それぞれ(図1)と(図2)に示しました。

2-1. 事故発生件数あたりの死者数の月別ならびに暦年推移(図1)

 (図1)に示した9グループのグラフを概観すると、各月の死亡者の比率は暦年の経過とともに低下しています。高値を示すのは、(1)、(2)、(3)の3グループ(1960年〜1974年)で、このあとはつぎの4つに区別されます。まず、グループ(4)(=1975年〜1979年)、ついで(5)、(6)、(7)の3グループ(1980年〜1994年)、そしてグループ(8)(=1995年〜1999年)、最後が最低値を示すグループ(9)(=2000年〜2004年)です。

 各グループの月別推移を通年でみた場合、1月は高値で始まりますが、その後は漸減して6月〜7月がついで最低となり、漸増に転じて年末に到ります。1月の高値は暦年早期ほど著しく経年的に低下しますが、50年まえには現在の3倍という状況であったことには驚かされます。なお、最近の通年変化が平坦であることも過去とは際立っています。

 

 

2-2. 事故発生件数あたりの負傷者数の月別ならびに暦年推移(図2)

 (図2)に示されているように、負傷者数についてのグラフの動向は死者数のそれとはかなり異なります。9グループのグラフをみると、低値を示す暦年早期のグループ(1)(=1960年〜1964年)を除く他の8グループ(1965年〜2004年)の示す数値は、ほぼ一致して高くなっています。これは1960年代以降、走行自動車台数のとどまることのない増加や供用道路総延長の増大などが重なり合うことにより、前回までに触れたように、“死亡”に到らない受傷者の発生割合が増加してきていることの反映と考えられます。

 グラフからみたグループ(1)の特徴は、低値にありながら7月〜8月に山場があることです。同時に、他のグループと同様に年始は高値を示しますが、その後は平坦で年末の増加もありません。なお、グループ(3)と(4)(=1970年〜1979年)の8月にわずかな高値がみられますが、理由はわかりません。このほかで目立ったものとしては、グループ(3)の7月の一過性低値で、機会が得られれば考察したいとおもいます。