2005.6.1

             
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リスクと生活

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自動車交通事故のリスク50年(3)
《自動車台数と事故件数、この70年》

主任研究員 武田篤彦


1. 基礎データ

  • 交通事故統計年報(2004、総務省警察局):
    交通事故、自動車台数等の推移=事故件数、死者数、負傷者数、
    自動車台数、人口

2. データの検討

  • 前回につづいて、1926(昭和元)年から2003(平成15)年までの78年間にわたる自動車交通事故について、いくつかの数値を紹介します。1926年を1としたときの2003年の割合は、自動車台数;2,005.03、事故件数;22.45、死者数;3.78、負傷者数;39.01、人口;2.10となっています。
  • 図1に、?“人口10万あたりの自動車台数”と、?“自動車10万台あたりの事故件数”、そして、図2に?“人口10万あたりの事故件数”のグラフを掲載しました。
  • ?に関しては、この間に自動車台数は136,693が77,580,658に、人口(×1,000)は60,741から127,619に、それぞれ増加しました。?は人口増加で補正した自動車台数ですが、1953年ころから右肩あがりの増加が始まります。
  • ?については、早期の1926年には自動車台数は38,693ですが、事故件数は42,226と大きく、死者数2,035、負傷者数30,282が記録されています。昭和初期には自動車そのものが珍しく、多くの地域では道路交通のルールもほとんど無く、ヒトもクルマもさまざまな事故に遭遇したと推察されます。その後、規制の整備が進められるうちに第2次大戦が開始され、道路の保守、車両の整備の点で困難な時代を迎えました。この時期に増加した事故率は、戦後しばらく持続しています。そして、自動車台数の増大に伴なって事故発生件数が増加するという平衡的傾向が、残念ながら存在することのようです。1960年から3年間の事故発生率の高騰はこれを打ち破るもので、注目されます。


  •  

  • つぎに図2に示した?の事故発生ですが、1953年から1975年ころにおよぶ事故件数の突出が目を引きます。道路と規制の両面で破綻をきたしたのでした。この突出部を除外しますと、この事故件数と図2に示した自動車台数の経年推移は、右肩あがりで類似していると考えられます。そのことは、自動車台数の増加が事故の増加に密接に関係していることを示し、増大する自動車による交通事故の低減には当然のことながらいっそうの努力が必要です。
  • 掲載した表は、1957年から1978年における自動車台数、事故件数、死者数、負傷者数、人口の各実数と、1957年の数値を1としたときの各暦年の数値の比です。死者数と負傷者数の比は1966年から増加をはじめ、1973年には改善の努力が稔って低い値に戻っています。これは、この間の人口増加(1.2倍〜1.3倍)の寄与分を考慮しても、この期間における交通事故の多発を意味しているものと考えられます。 


表 自動車台数、事故件数、死者数、 負傷者数、人口の経年推移
(各暦年における各欄の( )内の数値は、1957年を1としたときの比)

暦 年
自動車台数
事故件数
死者数
負傷者数
人口(×1,000)
1957
2,002,757( 1 )
146,833( 1 )
7,575( 1 )
124,530( 1 )
90,928( 1 )
1958
2,290,771( 1.14)
168,799(1,15)
8,248(1.09)
145,432(1.17)
91,767(1.01)
1959
2,696,015( 1.35)
201,292(1.37)
10,079(1.33)
175,951(1.41)
94,302(1.04)
1960
3,302,072( 1.65)
449,917(3.06)
12,055(1.59)
289,156(2.32)
942,87(1.04)
1961
4,007,934( 2.00)
493,693(3.36)
12,865(1.70)
308,697(2.48)
95,181(1.06)
1962
4,748,331( 2.37)
479,825(3.27)
11,445(1.51)
313,813(2.52)
96,156(1.06)
1963
5,722,037( 2.85)
531,966(3.62)
12,301(1.62)
359,089(2.88)
97,182(1.07)
1964
6,775,971( 3.38)
557,183(3.79)
13,318(1.76)
401,117(3.22)
99,036(1.09)
1965
7,897,499( 3.94)
567,286(3.86)
12,484(1.65)
425,666(3.42)
100,196(1.10)
1966
9,339,191( 4.66)
425,944(2.90)
13,904(1.84)
517,775(4.15)
101,331(1.11)
1967
11,275,859( 5.63)
521,481(3.55)
13,618(1.80)
656,377(5.27)
102,536(1.13)
1968
13,591,859( 6.79)
635,056(4.32)
14,256(1.88)
828,071(6.65)
104,665(1.15)
1969
16,167,272( 8.07)
720,880(4.91)
16,257(2,15)
967,000(7.77)
106,100(1.17)
1970
18,586,503( 9.28)
718,080(4.89)
16,278(2.15)
981,096(7.88)
107,573(1.18)
1971
20,859,583(10.42)
700,290(4.77)
15,918(2.10)
949,689(7.63)
111,940(1.23)
1972
23,555,093(11.76)
659,283(4.49)
14,574(1.92)
889,198(7.14)
113,094(1.24)
1973
26,182,062(13.07)
586,713(4.00)
11,432(1.51)
789,948(6.34)
114,165(1.24)
1974
27,790,808(13.88)
490,452(3.34)
10,792(1.42)
651,420(5.23)
115,190(1.27)
1975
28,934,020(14.45)
472,938(3.22)
9,734(1.29)
622,467(5.00)
116,155(1.28)
1976
30,903,111(15.43)
471,041(3.21)
8,945(1.18)
613,957(4.93)
117,060(1.29)
1977
32,853,106(16.40)
460,649(3.14)
8,783(1.16)
593,211(4.76)
117,902(1.30)
1978
35,000,224(17.48)
464,037(3.16)
8,466(1.12)
594,116(4.77)
118,728(1.31)