2001.2.13

 
 
からだの中から放射線が・・・

 私たち生物の先祖は、はるか30数億年まえに海の中で生まれたとされています。このため、動物のからだは海水の成分に関係の深い元素(原子の種類)を中心に成り立っているのです。

 その代表的なものは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、そして塩素です。これらは、われわれのまわりにたくさんありますが、どれも生きていくために欠くことのできないものなのです。私たちは食べものからこれらを取り込み、体の全ての細胞や血液は一定の割合でこれらを含み、生命の維持に役立てています。

 この5種類のうち、「りん酸カリ」など肥料としてお馴染みのカリウムには、ベータ線という放射線を出す仲間が、ごくわずかな割合で入っています。私たちは、野菜や肉類をはじめ飲食物を毎日食べ、消化吸収し排出していますが、その中に含まれるカリウムは、体内にいるあいだ放射線を出しながら働いています。

 その放射線の強さはわずかなものですが、精密に測定すると全身に分布していることがわかります。このほか、ウランやトリウム、ラジウムなど放射線を出す元素も、わずかながら体内に含まれていることが知られているのです。

 その理由は、私たちの食材の大部分を占める農・畜・水産物は、広く環境にある放射性元素をいろいろ取り込んでいて、これを食べる私たちもそれを取り込んでいるためです。ヒトの体内には、ごく微量ですが金や銀も含まれていますから、体にとって必要でないとおもわれるものも、私たちは日常的に、大まかに取り込む性質を持っていると言えるでしょう。

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