2001.2.13

 
 
放射能の発見とキュリー夫妻

  私たちは、住んでいる地球の石や土など大地の中に、カリウムやウラン、トリウムなど放射線を出す元素があり、体の中にも食物を通して入り、いつも放射線を出しつづけていることを知っています。この「放射線を出す能力」をもっている元素を、「放射能」をもっている元素といいます。

 しかし、このことは、1896年にフランスの学者ベクレルが、ウランを含む薬品から放射線が出ていることを発見するまで、わかっていませんでした。

 放射線を出す元素ウランが、オーストリアの金属鉱山のピッチブレンドと呼ばれる黒い鉱石に含まれていることは以前から知られていました。鉱石から取り出したウランを、グラスをつくるガラス生地に混ぜたり、陶磁器の釉薬(うわぐすり)に用いると、輝きがたいへん鮮やかになるため人気があったのです。

 ベクレル先生の発見に刺激されたキュリー夫人は、不要になったこの鉱石に、ウランよりもっと強い放射能をもつ元素が含まれていることに気づきました。ポーランドで生まれパリに留学して研究者になったマリーは、物理学者ピエール・キュリーと結婚し、夫妻で放射線の研究を続けていました。

 数トンもの鉱石を譲り受けたキュリー夫妻は、たいへんな努力でこれを処理し、ようやく目的とする放射性元素、約0.1グラムのラジウムを手に入れることに成功しました。夫妻はその後もラジウムの研究をつづけ、その功績で1903年にノーベル物理賞、1911年には同化学賞を受賞しました。

 ラジウムを混ぜた色素は放射能をうけて蛍光を出すため、夜光塗料として用いられたほか、その放射能は医療用として広く利用されています。

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