1999.9.1

 
   
  3. なぜ放射線は体をとおるのか:X線写真の原理
 

 

 1895年レントゲン博士がX線の発見を発表したとき、人々は人の体の中がすかして見えるというので驚きました。これでは人の心の中まで見透かされるのではないかと心配した人があったとか書かれています。それは兎に角、今では病院で「ではX線で骨が折れているかどうか見ましょう」と言はれても誰も不思議には思いません。しかし、何故普通の光では体を透さないのに、X線は透すのですかと聞かれてその理由を説明できますか。

 ここに一枚のアルミの板があるとします。これは確かに光も、水も通しません。それ程しっかりと詰まっていて全く隙間がありません。しかし、X線が透る以上どこかに隙間があるはずです。それは何処にあるのでしょうか。皆さんはすべての物質は分子で出来ており、その分子はまた原子で出来ているということは聞かれたことがあるでしょう。アルミの板も私達の体もこの原子の集まりです。それぞれの原子は太陽系のように、中心に原子核があってその回りを電子が回っているといことを聞かれたことがあるでしょう。実はここに大きな隙間があるのです。普通の本に書いてある太陽系のような図はみんな嘘で、原子核をピンポン球だとすると外側の電子は8キロメトル位遠くを回っているはずです。これではとても本に書ききれません。この原子核と電子軌道との間に大きな隙間があります。それではこの隙間をX線が通りぬけるとすれば、反対に光や水はどおしてこの隙間を通れないのでしょうか。

 原子核は丁度昔のお城のようなものだと思って下さい。お城から遠く離れたところに出城か見張り場があって、外から攻めて来た敵はここで撃退されてしまいます。しかし、近代の戦いでは飛行機が出城など飛び越していきなりお城にせまります。城の上空を駆け抜けていくかもしれません。光や水は昔の兵隊です。X線は飛行機です。光もX線も電磁波ですが、持っているエネルギーが違うのです。光はエネルギーが小さいので外の電子につかまって中へははいれません。従って中に隙間があることが分からずアルミも体も通ることが出来ません。しかしX線はその隙間を通りぬけることが出来るのです。

 でもX線がみんな通り抜けてしまっては、体のなかの構造が分かりません。じつは飛行機がときには出城にある対空ミサイルで撃墜されることがあるように、ときとして電子につかまります。空気の窒素や酸素より骨を作っているカルシュウムは重い原子で、重い原子はそれだけ沢山の電子に護られているので、X線がつかまる可能性が大きいのです。この透過性の違いがX線写真となって見られるのです。

 光もX線も電磁波であると言いました。その意味ではラジオやテレビに使う電波も同じです。また病院でがん治療に使うコバルトも実はコバルトー60という放射性同位元素から出てくるガンマー線を使っているので、これも同じ仲間です。違いは波長です。これらのものは真空中の速度が皆同じですので、波長に反比例した周波数をもっていることになります。その関係を図に示しました。これらの電磁波は波であると共に粒子であるという性質を持っています。これは何故と聞かれると難しいのですが、実験によって波のように見えたり、粒子のように見えたりすると考えて下さい。先に言ったエネルギーですが、この粒子としてのエネルギーは周波数に比例します。従って波長の短いほど、周波数は高くエネルギーも大きいということになります。そこで可視光線が通らない体をX線ガンマー線が通るということになるのです。

図 電磁波の種類と波長、周波数

 

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