1999.9.1

 

  3) 脂肪とコレステロール
 

 

 脂肪はエネルギー密度の高い食物です。食餌中に占める脂肪の割合は工業化、都市化が進むほど大きくなる傾向があります。家畜の肉は脂肪の含量が多く、多くの加工食品は植物または動物由来の脂肪を含んでいます。またこれらの脂肪は調理の時にも、食卓でも添加されます。大部分の不飽和脂肪は植物由来です。ある種の多価不飽和脂肪酸は必須栄養素と考えられています。反対に殆どの飽和脂肪は動物由来です。コレステロールは脂肪ではありませんが、生物学上関連があるのでここで論じることにしましたが、これは完全に動物由来です。

 大部分の途上国ではその脂肪は殆ど植物性で、その摂取量は全カロリーの15%、精々高くて25−39%です。全脂肪、飽和脂肪、コレステロールの摂取量はどんな種類の動物をどの位食べるかによって大きく変わります。先進国や途上国の都市部では脂肪の摂取は全カロリーの30−40%に及びます。このような動物由来の脂肪は可成りの量の飽和脂肪を含んでいます。またこのような動物食はコレステロールを含んでいるわけです。以下に述べるような脂肪そのもののがんとの関連と共に、脂肪の多い食餌は肥満(高い体重指数)を招きやすく、その意味で高脂肪食は間接的にがんのりすくをますことになります。

証拠
がんリスクを減らす
関係なし
がんリスクを増す
確信出来る      
可成りの   コレステロール(乳がん)  
可能性あり   単価不飽和脂肪(乳がん)、多価不飽和/植物脂肪 (乳がん) 全脂肪(肺がん、大腸・直腸がん、乳がん、前立腺がん)、飽和/動物脂肪 (肺がん、大腸・直腸がん、乳がん、子宮内膜がん、前立腺がん)、コレステロール(肺がん、膵がん)
不十分     全脂肪(卵巣がん、子宮内膜がん、膀胱がん)、飽和/動物脂肪(卵巣がん)、コレステロール(子宮内膜がん)

註1: 牛、豚、子羊の肉や肉製品は全カロリーの40−75%に相当する脂肪を含んでいる。鶏卵では全カロリーのが脂肪で、全乳では50%である。鶏肉の場合は25−50%でことに皮下の多い。魚は5−60%と種類によって異なる。野菜や果物は一般に脂肪を殆ど含まないが、アボガドやオリーブは例外である。またナッツも全カロリー80−90%が脂肪である。穀類は脂肪は極めて少ないが、それから作ったビスケットやお菓子はしばしば大量の脂肪を含んでいる。
註2: 飽和脂肪は主に動物性のものに含まれている。ただしココナッツと椰子油とは例外である。単価不飽和脂肪はオリーブ油、アボガドなどに多い。肉、鶏肉、鶏卵、ミルク、バターなどにも幾らか含まれている。多価不飽和脂肪もいろんなものに含まれているが、とくにいろんな植物油に50−75%程度含まれている。上に挙げた肉類には比較的少ないが、野生のものには飼育したものよりは多いと言われている。脂肪の多い魚にはオメガ3脂肪酸という一種の不飽和脂肪酸が含まれている。コレステロールは動物食品のみで、一番多い卵の黄身で1%位、肉(0.07-0.09%)や貝(0.08-0.2%)には僅か含まれている。
註3: 脂肪とがんとの関連を考える時に問題になるのは、脂肪を多くとる時は野菜や果物を余り食べないのではないか、脂肪は多く肉と一緒に食べている、またその時に自分で脂肪を除けている人がいる、などである。また上にも述べたように肥満との関係があって脂肪のせいと割り切れない点がある。
註4: 発展途上国などでは澱粉質ばかりで食餌をとると量ばかり多くなるので、WHOなどは少なくとも15%は脂肪をとるように勧告している。工業国では全脂肪として全カロリーの30%を上限としその内の19%は飽和脂肪にすることを勧告しているが、ある場合には実際上のことを考えてこれを35%にしているところもある。要は肥満を避けることで、肥満はがんだけでなく、心臓疾患、糖尿病などの生活習慣病のリスクを増す。
 
 
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