1999.9.1

 

  2. 表示の仕方
 

 

 このシリーズを通じて、食餌、栄養とがんの関係についての証拠の確かさについての判断を示すのに、図1に示すようなマトリックスを用いることにします。その判断はまず疫学的証拠の一貫性、強度、ならびに質に基づき、ついで妥当な機構論を含む実験的その他生物学的証拠があるかどうかに基づきます。いろんな型の疫学研究の相当な数のデータが一定した結果を示す時は、そして実験的その他生物学的研究からそれを支持する証拠がある時には、因果関係についての確信出来る証拠があると判断します。もしそれがいくらか弱い時には因果関係は可成りということ言う表現をします。可能性ありも、不十分も関連があるのではないかと疑われて研究がなされたが、結論はこなったということです。これの詳しい説明は3.データの信頼度の表し方を見て下さい。

図1 がんリスクとの関連の証拠の確かさを示すマトリックス

証拠
がんリスクを減らす
関係なし
がんリスクを増す
確信出来る      
可成りの      
可能性あり      
不十分      

 

 因果関係が確信を持てる時あるいは可成りと言える時には、政策決定者や一般公衆に食餌勧告をするのに十分な根拠があるとこの報告書ではしています。マトリックスの例を図2に示します。この図に書かれて言葉をそのまま受け取ってはいけません。例えば、野菜と果物ががんを減らす確信出来る証拠があるということは、一個のリンゴががんを防ぐという意味ではありません。肉類は多分がんを増やすというのは、菜食主義こそとるべきものであるという意味ではありません。同様に、喫煙が肺がんのもとというのは、一本のたばこが死の宣告になるということではないのと同様です。何れも多く摂っている人達が、少ししか摂っていない人々に比べて、リスクが増すとか減るとかいうことです。

図2 マトリックスの例

証拠
がんリスクを減らす
関係なし
がんリスクを増す
確信出来る 野菜と果物    
可成りの 肉体運動 アルコール 肉類
可能性あり ビタミンC 高い体重指数
不十分     動物脂肪