1999.9.1

 

  1.このシリーズの主旨と読み方
 

 

 ご承知のように我が国ではがんは永らくその死因の第一位です。対がん総合戦略10ケ年計画といのが1984年4月に立てられ、1994年にはさらに10年間延長されましたが、その死亡率は依然として増えつづけています*。アメリカではニクソン大統領が1971年に「がんへの闘い」を宣言し、特別の研究費を投じましたが10年以上経っても一向にがん死は減らず、国立がん研究所の所長は窮地に立たされたということがありました。そこであらためて1985年から2000年の間にがん死を半減させるという大目標をかかげ、具体的な政策が進められました。しかし現実はなかなか厳しくなおがん死はなお増え続けていたのですが、1990年をピークにようやく減少に転じてきた事が最近分かりました。これは禁煙を中心とするがん予防と治療成績の向上によるものと分析されています。

 ところが、我が国では初めに述べたように、がんはなお増え続けているし、これに対して新聞広告などには毎日のように“何々のがん予防効果“と言ったことが掲載されています。これはそれだけがん予防について人々の関心が高いということでもあると思います。最近がん予防についての広報や文庫本なども出ていますが、その科学的根拠について統一的に書いたものは見られません。幸い1997年の末にWorld Cancer Research Fund/American Institute for Cancer Researchから "Food, Nutrition and the Prevention of Cancer: a global perspective" と言う700頁余の報告書(以下報告書と略す)が発行されました。これは世界がん研究基金ががんは今や先進国だけでなく、世界中の大きな問題でありみんなが力を合わせてとりくむべきであるとして、現在までに得られた科学的知見を整理して評価し、それぞれの事項についてその情報の信頼度をつけてがん予防のあり方を勧告してたものです。ここではその中から皆さんに直接役立つように、食餌成分とそれに関連した項目について項目毎に紹介しようと思います。

註: 1998年「国民衛生の動向」によると1995年に比べて96年にはがん死亡率は男女共に増えていますが、年齢構成をそろえた年齢調整死亡率はいずれも僅かながら減少している。この傾向がそのまま続き97年にもっと減るかどうかで、この減少が本物かどうかがはっきりするでしょう。
 
 
  1. このシリーズの主旨と読み方
  2. 表示の仕方
  3. データの信頼度の表し方
  4. 項目一覧