2003.11.8
 

 平成15年健康指標プロジェクト講演会要旨

第44回例会
(11月15日(土) 14:00〜17:00、京大会館102号室)
食品と免疫・アレルギー

上野川 修一
(日本大学 生物資源科学部)
 

腸管免疫 経口免疫寛容 ブロバイオティクス

 経口的にからだに入るものには安全なものと危険なものがある。安全なものの代表的なものは食品であり、また危険なものは、病原性の細菌やウイルスである。腸管の免疫系は安全な物は受け入れ、自分のからだの健康に役立てる。しかし、この安全なものも穏やかではあるが免疫反応を引き起こし、極端な場合にはアレルギーなどを引き起こすこともあるから、これを抑える反応も起こる。これを経口免疫寛容という。

 また、病原細菌やウイルスが侵入したときには、これを排除する必要がある。そのために、免疫グロブリンA(IgA)がつくり出される。この免疫グロブリンAはパイエル板でIgAをつくる細胞がつくられ、これが腸管腔を覆っている上皮細胞の下層に移り、そこでIgAをつくり始め、そしてこのIgAが腸管腔にでて、病原細菌の侵入を防ぐ。このように腸管免疫系は侵入してくるものの善悪を見極め、悪い侵入者のみを除くという極めて難しいことをやってのけているのである。

 そして、このような働きに腸内細菌が大きな影響を与えていることが明らかとなってきた。腸内細菌とは、そのほとんどが大腸に生息している。そして嫌気性であり、その総数は約100兆個、総重量にして1.0kgある細菌群で、その種類は少なくとも100種類以上であるとされている。そしてこれらは生体と共生し、免疫系などの形成や活性化に関与しているといわれている。

 今回はこのうち経口免疫寛容の研究の現状、そしてプロバイオティクスすなわち有用生菌、プレバイオティクスすなわち有用腸内細菌に選択的な増殖作用をもつオリゴ糖などのアレルギー抑制作用について述べたい。

 

 
 

 

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