2003.9.5
 

 平成15年健康指標プロジェクト講演会要旨

第42回例会
(9月20日(土) 14:00〜17:00、京大会館102号室)
チャネルの構造と機能
Structure and function of water and ion channels

藤吉 好則
(京都大学大学院理学研究科生物物理)
 


 地球上のほとんどすべての生命は脂質2重膜で包まれた細胞から出来ており、それは水で満たされている。ヒトの体の生体膜を1日に透過する水の量は300リッターにも及ぶとされている。また、神経細胞をはじめ多くの細胞の重要な情報伝達は,受容体やイオンチャネルが存在する膜を介して行われている。興味深いことに、イオンチャネルの機能を構造から議論できるような構造研究が最近進みつつある。特に、我々が開発した極低温電子顕微鏡は膜蛋白質の構造研究に威力を発揮しており、電子顕微鏡を用いてこれまでに解析された4種類の膜蛋白質のすべてが、このタイプの極低温電子顕微鏡を用いて解析された。

 水を70%近くも含む細胞にとって,イオンチャネルの機能を有効なものとするには,イオンやプロトンと水の透過を選択的に調節できる仕組みが必要である。この機能を担う分子としてアクアポリンと名付けられた一群の水チャネルが発見されている。最初に確認された水チャネル、アクアポリン-1や脳などにある水チャネル、アクアポリン-4の構造と機能について議論する。

 また、神経筋接合部のイオンチャネル,アセチルコリン受容体の構造解析により,これらの機能の詳細が構造学的視点から理解できるようになってきた。電圧感受性Na+チャネルの低い分解能の解析も,アセチルコリン受容体と比較すると興味深い特徴を明らかにした。これらの我々が関わった解析と、MacKinnonらが解析したK+チャネルの構造解析結果とを合わせてチャネルの構造と機能について考えてみたい。

 

 
 

 

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