2003.9.5
 

 平成15年健康指標プロジェクト講演会要旨

第42回例会
(9月20日(土) 14:00〜17:00、京大会館102号室)
代謝型グルタミン酸受容体の構造と機能
Structure and function of metabotropic glutamate receptor

陣上 久人
(生物分子工学研究所)
 


  脳の興奮性神経伝達ニューロンの大部分はグルタミン酸作動性である。グルタミン酸受容体にはチャンネル型と代謝型があり、記憶、学習などの過程や神経統合不全症、てんかん、脳変性疾患などの病態との関連が追及されている。我々は代謝型受容体の構造と機能に焦点をあてて研究している。代謝型グルタミン酸受容体(mGluR)は膜を7回貫通し、G蛋白質共役受容体(GPCR)に属する。しかし一般のGPCRと違い、約600アミノ酸からなる大きな細胞外領域を有する。mGluRの後にクローニングされたCaセンシング受容体、GABAB 受容体、一部の嗅覚受容体、味覚受容体はmGluRと弱いアミノ酸配列相同性をもち同様のドメイン構造を示唆し,これらの受容体はタイプIII GPCRとよばれている。

 一個のアミノ酸であるグルタミン酸が受容体のどこに結合するのか? 我々は大きな細胞外領域を単独で昆虫細胞培養上清に分泌発現し、その精製蛋白にリガンドが、全長型受容体と同じ Kd で結合する事を証明した。つづいてこの精製蛋白質を用いて3次元構造も解明した。生化学実験で示唆されたニ量体構造であった。リガンド・フリー、アゴニスト及びアンタゴニスト結合構造から本受容体の初期活性化機構を考えてみたい。

 

 
 

 

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