ことばの解説
文中でグリーンのアンダーラインのことばをクリックすると、ここに解説が表示されます。

 


体重指数:Body massの訳。通常はBody mass index、BMIとして英語のまま使われている。
体重(Kg)/身長(m)2
体重指数キログラムで表した体重をメートルで表した身長の2乗で割った数値である。これが21〜23が集団としての正常値、個人としては18.5〜25の間にあることが望ましい。ここでは、これを超える者を高い体重指数と言っている。


グレイ(Gy, Gray):放射線に関する単位
重量あたりの吸収エネルギー量で表した放射線の線量。電離放射線により物質に与えられた単位質量当たりのエネルギー量。人が自然界や、医療および職業上発生する放射線 を浴びる量は、年間世界平均2ミリグレイ(0.002Gy)前後と推定されています。


シーベルト(Sv) [レム(rem): 1Sv=100rem  1mSv=0.1rem レムは旧単位]
放射線防護の目的に用いられている放射線量の単位。種々の放射線に被ばくした際、線量の合計は各放射線の物理的線量(単位はグレイ)にそれぞれの放射線の生物学的な影響の強さに対応する係数を掛けて合計します。ガンマ線に対する係数は1なので1Sv=1Gy(1ミリシーベルト[mSv]=0.001Sv)となり、原爆放射線に含まれている中性子に対する係数は10なので1Sv=0.1Gyということになります。


レム(rem)
roentgen equivalent man略でX線、ガンマー線以外の放射線もレントゲンと同じ効果期待できる線量という意味。従ってX線の場合はRと同じである。今では使われず、これに相当するものはシーベルトSvで1remは1cSvに相当する。


ラドン
ラドンはラジウムが崩壊することによって発生する放射性ガスです。ラドンは換気が行われていない場所では、高濃度になる可能性があるので、長期間にわたり高濃度のラドンを吸入すると肺がんになる可能性もありますが、洞窟などラドン雰囲気中で、ぜんそく、アレルギーなどの治療にも利用されます。


ナトリウム24
自然に存在するナトリウムは100%がナトリウム23で安定している。これに中性子が当たり取り込まれる(捕獲される)とナトリウム24になり、これは不安定なので短時間(半減期:14.96時間 )でβ線とγ線を出して崩壊しマグネシウムになる。


半減期
放射性原子が崩壊して半分になる時間。その時間の2倍で4分の1,4倍で8分の1と減っていく。


α(アルファ)線
ヘリウムの原子核(2個の陽子と2個の中性子からなる)の粒子線で、ラジウム、ラドン、トリウム、プルトニウム、ウラニュウムなどの特定の放射性原子の自然崩壊によって発生します。質量が大きく、正の電荷を帯びているために、水中(生体)では短い距離(1mm未満)しか進まず、紙一枚でも止まります。それだけ短い距離に大きなエネルギーを与えるので受けた細胞は大きな障害を起こすと考えられます。アルファ線による健康影響が現れるのはアルファ線を出す物が体内に摂取された時(体内被曝)に限ります。例としては、夜光時計文字盤塗工のラジウム汚染、室内ラドンガスの吸入、昔の造影剤としてのトラトラストの注射例などがあります。


β(ベータ)線
電子を成分とする粒子で、トリチウム(三重水素)、炭素14、燐32、ストロンチウム90などの特定の放射性原子の自然崩壊によって発生します。生体(水中)での透過距離はそのエネルギーによって異なり、トリチウムでは1mm未満、燐32では約1cmです。ベータ線による健康影響の見られるのは主に体内に取り込まれた場合ですが、ストロンチウムなどでは皮膚についても障害を起こすおそれがあります。なお医療などで使われる電子線装置による電子線も本質的には同じです。

 
X線、γ(ガンマ)線
何れも同じ波長の極めて短い電磁波で発生の仕方で名称が異なります。高速の電子が金属にぶつかって停止するときに、そのエネルギーが電磁波に変わって発生するものをX線と呼びます。放射性原子が自然崩壊する時に発生する電磁波をガンマ線と言います。X線は一般に異なる波長のものを含んでいますが、ガンマ線はその放射性原子に特有な波長を持っています。これらは物質透過性に優れていることは説明した通りです。生体には体外からでも、体内からでも大きな範囲、しばしば全身に影響を現します。


レントゲン
古い放射線の単位。放射線は物質透過性があるのである物質が受けた量を測っても一部が透過しているので正確にはその物質が受けたエネルギーにはならない。その物質が受けた量を何とか直接に測る方法がないかというのが一番の課題である。検討の結果当時使われていたX線では単位質量当たりの空気のエネルギー吸収が人体のそれに近いということに着目して、空気の吸収を放射線の単位にすることが決められた。これがrレントゲンである。その後これはRと書くようになった。大ざっぱには普通のX、ガンマー線ではRはほぼcGyと同じと考えてよい。


中性子
中性子は原子核の構成成分ですが、ウラニュウムやプルトニュウムなどの核分裂の時に放出されます。中性子自身は電荷を帯びていませんので、直接生体に障害を与えることはありません。しかし、生体は大量の水素を水の成分として含んでおり、エネルギーの高い中性子が水素の原子核すなわち陽子に当たるとその陽子を突き飛ばし、陽子線として生体に働き障害を与えます。その作用はアルファ線とベータ線の中間程度のものです。エネルギーの低い中性子はよく生体の原子にとらえられ核反応をおこすことがあります。この反応を起こし易いボロンを生体に取り込ませ、熱中性子を当てて核反応をおこさせてガン細胞を選択的に照射することをねらった治療を中性子捕獲療法と言います。


コホート研究(Cohort Study) と症例対照研究(Case-control study)

コホート研究とは、関心ある事項へ曝露した集団(コホート)と曝露していない集団の 2つの患者集団を同定し、これらのコホートが関心ある転帰を示すまで追跡する研究様式。 例えば10年間の死亡数で、曝露された人々の死亡率を曝露されていない人々のそれと 比較する。コホート研究は解析を現在から未来への向き、つまり前向きに行うのが普通であるが、時には過去の記録を利用することもある。 ある危険因子にさらされた者とそうでない者が将来どのような病気に罹患するか、 あるいはどのような病態になるのか、とくにその危険率を研究するのに一番良い方法とされてる。
一方、 症例対照研究はある疾病の症例群を出発点とし、それと性、年齢、社会的背景など問題にする暴露条件の他をできるだけそろえた集団を設定し両者の比較、解析を行うものである。従って解析は過去に向かって行われ、後ろ向きである。すべての事象がすでに起こってしまった過去のことを解析することになる。疾病群の暴露率と対照群の暴露率の比をオッズ比と呼び、暴露のリスクに近似するものと考えられている。実際には理想的な対照群を得ることは容易ではないので、コホート研究に比し精度が劣るものとされている。

 

 

 

 


copyright© 1999-2001 Health Research Foundation
All Right Reserved.