2007.8.1

 
 
科学の前線散策
 
 
8. 新しい電球:発光ダイオード

菅 原  努


 

 

 今年の 6 月にアメリカ・ミシガン州バートンにウォールマートの新しい大店舗が開店しました。その店の規模の大きいこともさることながら、注目すべき点は、冷凍食品部門です。食品ケースの照明に今までの蛍光灯ではなく、発光ダイオードを使ったのです。これは今まで使っていた蛍光灯に比べてエネルギー効率がよく、また長持ちをするので、これをウォールマートの全米の 500 店に使用すると、年間 260 万ドルの節約になるということです。

 丁度昔の真空管が半導体に置き換わったように、明かりもこれからは蛍光灯からこの光ダイオードに置き換わるだろうと言われています。光ダイオードは初期には暗く赤い色しかでませんでしたが、やがて緑、水色と発展し、それらを組み合わせて白色も出るようになりました。これを初めて作ったのは当時日本の日亜化学に居て、その後カリフォルニア大学に移った中村修二さんです。

 普通の電球は 1 ワット当たり 20 ルーメンですが、蛍光灯ではこれが 60 ルーメンになります。発光ダイオードでは今のところ 30 ルーメンですが、実験室では 100 ルーメン以上が得られており、数年後には商品化できるだろうと言われているのです。しかし、初めにのべた商店での利用は別として、一般の家庭での利用は、長持ちする、エネルギー効率がよいだけではなかなか普及しないだろうと、専門家は見ています。それは蛍光灯のときのことを考えても考えられるし、交流を直流に変えるなど今までとは違ったやり方が必要なので、予め組み込んだ新築住宅などから始める必要があるだろう、ということです。