2007.10.1

 
 
科学の前線散策
 
 
10. 肥満はウイルス感染による?

菅 原  努


 

 

 最近メタボリックシンドロームということで、肥満が問題になっていますが、一方では盛んに食べてもなかなか太らない人がいることも事実です。そうすると肥満には運動と食餌のほかに何かありそうだとは誰もが不審に思っているのではないでしょうか。そこに次のようなウイルス説が現れたのです。

 ルイジアナ州立大学のBaton Rouge らはアデノウイルス36 またはSMAM-1 という同様のウイルスを感染させると動物が肥満になることを示しました。人でも肥満の人の 30 %がこのウイルスに対する抗体を持っているのに、肥満でない人では 10 %でした。また人の脂肪組織から幹細胞を取り出し、このウイルスを感染させると、増殖し脂肪を蓄積しました。他のウイルスではそのようなことは見られませんでした。もしこれが本当に肥満の原因ならば、ワクチンを作るとか、抗ウイルス剤を投与することが肥満の予防になるはずです。また太った人と一緒に暮らしているとそのウイルスに感染しないか、という疑問も生じます。

 でも今のところ肥満のウイルス説はまだまだ証拠不十分で、専門家の意見はやはり過食を防ぎ運動を十分することが肥満の予防の中心だというところにあるようです。